マウスピース矯正は口内環境を悪化させる？科学的データで解説する口腔微生物叢（細菌）への影響と衛生管理の秘訣 | 札幌MAブログ

監修者：札幌MA矯正歯科院長
（本記事は、最新の歯学論文や専門的知見に基づき作成されています。）

はじめに：お口の健康と矯正治療

こんにちは、札幌MA矯正歯科です。歯並びを美しく整える矯正治療は、見た目の改善だけでなく、ブラッシングしやすくなることで虫歯や歯周病のリスクを減らし、生涯にわたるお口の健康に貢献します。特に近年、透明で取り外し可能なマウスピース型矯正装置（クリアアライナー）は、その目立ちにくさや快適性から多くの方に選ばれています。

しかし、治療を始める前に「矯正装置をつけることで、口の中の環境が悪くならないかな？」と不安に感じる方もいらっしゃるかもしれません。特に、細菌の集まりである「口腔微生物叢（こうくうびせいぶつそう）」（オーラルマイクロバイオーム）がどう変化するのかは、多くの方が気にされる点です。

この記事では、マウスピース矯正が口腔内の細菌叢にどのような影響を与えるのかを、最新の科学的な研究結果に基づき、専門的な知見と分かりやすい言葉で徹底的に解説します。

科学が証明！マウスピース矯正と口腔微生物叢の安定性

1. 注目研究の概要：アライナー治療と口腔内フローラ

ある縦断的研究では、マウスピース矯正治療中の患者さま11名を対象に、治療開始前、3ヶ月後、6ヶ月後という3つの時点で、唾液、歯肉の縁上、歯肉の縁下という3つの異なる部位からサンプルを採取し、口腔微生物叢の組成変化を詳細に分析しました。

この研究は、治療が口腔内の細菌環境に与える影響を、分子生物学的なレベルで追跡した貴重なデータと言えます。

2. 6ヶ月間の治療で得られた重要な結論

この研究結果から、マウスピース矯正における非常に重要な結論が導かれました。

口腔微生物叢の全体的な安定性 6ヶ月間のアライナー治療期間中、口腔内の3つの異なる部位（唾液、歯肉縁上・縁下プラーク）において、微生物叢の全体的な組成や多様性（アルファ多様性・ベータ多様性）に、統計的に有意な変化は見られませんでした。
臨床的な健康パラメータの維持 プラーク指数（IP）や歯肉指数（ISG）といった臨床的な口腔衛生パラメータも、治療期間を通じて安定していました。これは、マウスピース矯正が良好な口腔衛生状態の維持に貢献し、歯周病のリスクを増大させないことが示唆されます。

3. 固定式装置との決定的な違い

この結果は、従来の固定式矯正装置と比較して、マウスピース矯正が衛生面で優位であることを裏付けます。

固定式装置のリスク ワイヤーやブラケットを用いる固定式装置は、装置周辺にプラークが溜まりやすい環境を作り、歯周病原菌の増加や虫歯リスクの上昇が報告されています。
マウスピース矯正の利点 一方、マウスピース矯正は取り外しが可能であるため、食事や歯磨きの際には装置を外して普段通りにブラッシングやフロスを使用できます。これにより、口腔内の細菌環境のバランス（ホメオスタシス）が維持されやすいと考えられます。

なぜ「取り外し可能」がそんなに大切なの？

マウスピース矯正では、「1日20時間以上」の装着時間が求められますが、食事と歯磨きの際には取り外します。この「取り外しができる」という特性が、口腔内の健康維持に大きく関わってきます。

1. 良好な口腔衛生の維持

プラークの除去：固定式装置とは異なり、歯磨き時に装置が邪魔にならず、歯面全体や歯と歯の間を徹底的にクリーニングできます。
歯肉への影響：固定式装置に比べて歯肉への刺激が少ないため、歯肉炎や歯周炎といった炎症性疾患の発生リスクが低減されます。

2. 細菌が活動しやすい環境の変化

研究では、細菌の「種類」が大きく変化しないことが示されましたが、一部の類似研究と合わせて考えると、注意すべき「環境」の変化がある可能性が浮かび上がります。

唾液の停滞とpHの低下：アライナーを装着することで、歯とアライナーの間に唾液が停滞しやすくなり、局所的に口腔内のpHが低下（酸性に傾く）する可能性があります。
局所的なリスク増大：たとえ細菌の「種類」が変わらなくても、酸性の環境では虫歯菌が活発になり、歯周組織が弱まりやすくなります。つまり、「細菌の種類の変化」よりも「物理化学的な環境の変化」が局所的なリスクに関わる可能性があるということです。

このため、マウスピース矯正中は特に、アライナーを外した後の丁寧な歯磨きと、アライナー自体の洗浄・清潔保持が、良好な口腔環境を保つための鍵となるのです。

マウスピース矯正を成功させるための4つの秘訣

口腔微生物叢の研究が示すように、マウスピース矯正では自己管理が結果を大きく左右します。

1. 装着時間は1日20時間以上を厳守

治療計画の達成：マウスピース矯正は、1日20時間以上（基本的に食事と歯磨き時以外）装置を装着して初めて計画通りに歯が動きます。装着時間を守らなければ、歯の動きが不十分になり、治療期間の延長や治療の失敗につながる可能性があります。
モチベーション維持：ご自身の協力度合いが結果に直結するため、治療開始前に「自己管理の自信」を確認することが非常に重要です。

2. アライナーは毎日丁寧に洗浄

アライナーの表面には、取り外していても細菌が付着します。これを防ぐために、毎日の歯磨きの際にアライナーも水洗いし、専用の洗浄剤を使用して清潔に保つことが重要です。アライナーの表面にバイオフィルム（細菌の塊）が形成されると、矯正治療の妨げになるだけでなく、口臭の原因にもなります。

3. 適切な症例選択と専門医の診断

マウスピース矯正は万能ではなく、適応症例が限られています。

適応しやすいケース
- 軽度の空隙（すきっ歯）や軽度の叢生（デコボコ）
- 大きな歯の移動を伴わない症例
- 矯正治療後の後戻りの改善
- 金属アレルギーを有する症例
適応の見極めが大切なケース
- 抜歯が必要なケース
- 重度な不正咬合など、歯を大きく動かすケース
- 骨格的な問題（上下顎のズレなど骨自体にアプローチが必要なケース）

適切な診断なしに治療を開始すると、望む結果が得られないだけでなく、咬み合わせの悪化などのトラブルを招くリスクもあります。

4. 定期的な通院と専門家によるチェック

矯正治療は、身体の自然治癒力を利用した治療であり、事前に「いつまでに終わる」と断言することはできません。治療が計画通りに進んでいるかを定期的にチェックし、必要に応じて微調整（アタッチメントの再設定など）を行う必要があります。

当院のような矯正専門の歯科医院で、矯正専門医の指導のもと、正確な診断と治療計画を立てることが、安全かつ効率的な治療への近道となるのです。

札幌MA矯正歯科を選ぶメリット：転居後の継続治療もサポート

札幌MA矯正歯科は、北海道・札幌の皆さまに、質の高いマウスピース矯正治療を提供しています。

1. 専門性の高い矯正治療

当院はマウスピース矯正（インビザライン）に特化した専門歯科として、豊富な知識と経験を持つ専門医が、患者さま一人ひとりの症状に合わせた最適な治療計画をご提案します。

2. 矯正費用に関する安心感

矯正治療の費用については、「調整料」システムを採用している歯科医院が多く、治療期間の延長に伴い費用が予想よりも高くなる可能性があります。当院では、治療を始める前に費用体系を明確にご説明し、患者さまが安心して治療に専念できるようサポートいたします。また、費用が高額になりがちな自費診療においては、クレジットカード払いやデンタルローンの利用についてもご相談いただけます。

3. 全国に広がるグループ院ネットワーク

札幌MA矯正歯科が属するグループは、札幌だけでなく、東京、大阪、名古屋、福岡といった主要都市にも歯科医院を展開しています。

転勤・引っ越しへの対応：転勤や引っ越しなどで居住地が変わった場合でも、グループ院間で連携を取り、治療をスムーズに継続していただける環境を整えています。
安心の治療環境：全国どこでも、質の高い矯正治療を継続できるため、「転勤の可能性があるから」と矯正をためらっていた方も安心して治療を始められます。

「転勤の多い仕事だから、矯正は難しいかも…」と諦めていた方も、ぜひ一度ご相談ください。

まとめ：お口の健康は予防が鍵

最新の研究は、マウスピース矯正が口腔内の細菌叢を大きく乱すことなく、お口の健康を維持しやすい優れた治療法であることを示しています。

しかし、その成功は患者さまご自身の協力と自己管理にかかっています。

装着時間を守る：1日20時間以上の装着を徹底する。
衛生管理：歯とアライナーの丁寧な洗浄を欠かさない。
専門医の選択：適切な診断と継続的なサポートを受ける。

札幌MA矯正歯科は、マウスピース矯正を成功に導くための専門的なサポート体制と、全国に広がるネットワークで、皆さまの美しい笑顔と健康な未来を応援します。

「自分の歯並びがマウスピース矯正の適応症例か知りたい」「転勤の可能性があっても治療を始めたい」など、どんなご質問でもお気軽にご相談ください。

Effects of removable clear dental aligners on the composition of the oral microbiome

• URL: https://pmc.ncbi.nlm.nih.gov/articles/PMC12628672/

医院情報

項目	詳細
医院名	札幌MA矯正歯科
住所	〒060-0001 北海道札幌市中央区北１条西３丁目３敷島北一条ビル 8階
電話番号	011-522-8877
診療時間	平日 11:00～19:00 / 土曜 11:00～17:00 ※診療時間が変更になる場合があるため、事前にご確認ください
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