BLOG

未分類

近年、床矯正を行う歯科医院が増えています。床矯正とは、顎の骨が柔らかい子どものうちに、簡単に取り外しのできる“拡大床”と呼ばれる矯正装置で顎を広げていく治療法です。一般的な矯正治療では、歯を並べるスペースを確保するために抜歯を行うことが多いですが、床矯正によってあらかじめ顎を広げ、歯が並ぶスペースを確保することで、歯を抜かずに歯並びを整えることができるというメリットがあります。しかし、この床矯正によるさまざまなトラブルが問題となっています。

急速拡大装置


トラブル1.装置の不適切な使用により、ひどい出っ歯になってしまった
床矯正は、使用方法を誤ると十分な治療結果を得られないどころか、症状を悪化させてしまう可能性もあります。特に、顎を広げ、歯並びを膨らませる目的で床矯正を行っていた場合、適切な使用時間を守らないと、歯並びが広がり過ぎてしまうことで歯が前に突出し、ひどい出っ歯になってしまう場合があります。
トラブル2.奥歯が著しく外側に傾き、咬み合わせが全く合わなくなった
装置の使用時間を誤り、急速に歯並びを広げてしまうと、歯の根っこの動きが追いつかず、歯が外側に傾くように広がり、咬み合わせが合わなくなってしまう可能性があります。
トラブル3.何年経っても治療が終わらない

何年経っても変化が見られず装置を使い続けている場合、床矯正で顎が広がっていない可能性が高いです。床矯正はある程度成長が止まってしまうと顎が広がりにくいので、もしもしばらく治療に変化が感じられない場合は早めに歯科医院に相談するようにしましょう。
トラブル4.治療したのに元に戻ってしまった
床矯正で顎を広げたにも関わらず、治療が終わってすぐに装置を使わなくなると歯並びが元に戻ってしまう可能性があります。治療を終えた後は、必ず保定装置を使用し、後戻りを防ぐことが大切です。

インビザライン


トラブル5.抜歯をしなくてもいいように床矯正をしたが、結局永久歯を抜歯することになった
将来、抜歯をしなくてもいいようにと床矯正をしたにも関わらず、治療を始めるタイミングが適切でなかったり、歯の生え変わりや成長などによって結局抜歯が必要になるケースがあります。
床矯正は、歯を抜かないで治療ができる、取り外しができる、などのメリットがあるため多くのお子さんが行っているのを目にしますが、すべてのお子さんが床矯正で治療できるわけではありません。お子さんでも一人一人症状は異なりますので、その人に合った適切な装置、治療法を選択しなければこのようなトラブルを招きかねません。

このような床矯正によるトラブルが起きる原因は?


まず、治療前に行う事前の検査が不十分であることが大きな原因と考えられます。ただ口の中を見ただけで、検査もせずに拡大床の使用を勧められた場合は注意が必要です。十分な矯正歯科のトレーニングを積んでいない歯科医師が、誰にでも安易に拡大床を勧めることによって大きなトラブルを招いてしまっています。
そもそも、拡大床は顎の骨自体を広げるわけではなく、歯を外側に傾斜させ、顎全体を膨らませるように広げる装置です。そのため拡大床の適応となる症例は限定され、どのような患者さんにも使える万能の装置ではありません。それにも関わらず、歯を抜かずに治療ができる、簡単に取り外しができる、などメリットだけの謳い文句によって歯科医師から勧められた結果、適応ではない症例への拡大床の使用によりトラブルを招いてしまうことが多いです。しかし、トラブルが起きることも多い床矯正ですが、もちろん適応する症例もあります。

拡大装置

床矯正が適応となるケースは?

主に軽度なデコボコの症例が適応となります。歯のデコボコが軽度であれば、成長期に拡大床で歯列を広げておくことによって永久歯が生えるスペースを確保し、子どもの時の矯正治療のみで治療を終えることができる場合があります。たとえ永久歯が生え揃ってから歯並びを整える矯正治療を行うとしても、歯を並べるスペースがあるので抜歯をせずに治療を行うことが可能になります。
床矯正が適応でないケース は?
床矯正は、拡大床によって歯を外側に押し出す治療法ですので、出っ歯など口元の突出を気にされている方の治療には向かず、逆に悪化させてしまいトラブルに発展しかねません。また、床矯正は骨ではなく歯にアプローチしていくため、上顎前突、上下顎前突、下顎前突など骨格的に問題がある方にも適しません。重度なデコボコがある場合も、拡大床だけで治療を行うのは難しく、マルチブラケット装置での治療が必要になります。