口ゴボを治すには抜歯が必要?
口ゴボは抜歯しなくても治療できるの?
口ゴボは抜歯をしなくても改善が見込める場合があります。 歯を下げるスペースが十分に確保できれば、抜歯せずに口ゴボを治療することができます。
口ゴボを抜歯せずに治せるケースとは?(抜歯・不要)
最後臼歯の後ろに充分なスペースがある場合
顎全体が大きく、最後臼歯の後ろに充分なスペースが確保できていれば、歯列全体を後ろに下げることが可能です。抜歯せずに口ゴボを改善できます。
注1)ただし、この後ろに下げる方法は他の方法に比べると後戻りしやすく、下げられる量がものすごく大きいわけでは無いので適応症例には限界があります。
1,2本の歯だけが極端に前に出ている場合
前歯の1〜2本だけが他の歯に比べ極端に出ていることで口ゴボになっている場合は、出ている歯を他の歯と同じ位置に並べるだけで口ゴボが改善する可能性があります。
このような場合、抜歯をせずに歯を少しずつ削って隙間を作り、その隙間でできたスペース分歯を動かしたり、顎全体を広げるように歯を並べていきます。
歯並びのアーチが狭く、V字型になっている
V字型のように歯並び全体が狭く、前歯が突き出るような歯並びの場合は歯を抜かずにU字型の歯並びに変えるだけで口ゴボが改善される可能性があります。
【患者】 20代女性
【主訴】 上の前歯が出ている
【診断】 上顎前突
【治療期間】1年8ヶ月 通院回数15回
【治療内容】親知らず2本を抜歯した後、マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)を使用して主訴である上の前歯の突出の改善を行いました。
【費用】88万(税込)
【リスク】矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがあります。
矯正中は矯正歯科装置が歯の表面についているため食物が溜まりやすく、また歯が磨きにくくなるため、虫歯や歯周病が生じるリスクがあります。
歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
※矯正歯科治療は公的健康保健の適応外の自費治療(自由診療)となります。
口ゴボを治すのに抜歯が必要なケース(抜歯・必要)
大きく口元をバックさせたい場合
"口元を下げること”を治療の第一優先に考えている場合は、歯列を下げるスペースを大きく確保する必要があるため抜歯が必要になります。
叢生の度合いが強い場合
歯のガタガタが強い場合に非抜歯で歯並びを整えようとすると、狭い土台に無理やり歯を並べることで余計に口元が突出してしまう可能性があります。口元を前に出さずに歯並びを整えるためにはスペースを確保するために抜歯が必要になります。
【患者】 30代女性
【主訴】 前歯の突出
【診断】 叢生を伴う上下顎前突
【治療期間】2年3ヶ月 通院回数20回
【治療内容】上下左右の小臼歯4本を抜歯した後、マウスピース型カスタムメイド矯正歯科装置(製品名インビザライン 完成物薬機法対象外)を使用して主訴である前歯の突出の改善を行いました。
【費用】88万(税込)
【リスク】矯正歯科装置を付けた後しばらくは違和感、不快感、痛みなどが生じることがあります。
矯正中は矯正歯科装置が歯の表面についているため食物が溜まりやすく、また歯が磨きにくくなるため、虫歯や歯周病が生じるリスクがあります。
歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることや歯肉がやせて下がることがあります。
※矯正歯科治療は公的健康保健の適応外の自費治療(自由診療)となります。
口ゴボを抜歯せずに治す場合の注意点
非抜歯矯正治療は、かえって突出が目立つようになってしまうというデメリットがあります。
歯を動かすスペースに限界があるため、“抜歯しないこと”を優先にしてしまうと希望通りの口元にならなかったり、治療前よりも口元が出てしまう可能性があります。
さらに、狭いスペースに無理やり歯を並べようとした結果、歯ぐきに負担がかかり歯ぐきが下がってしまう(歯肉退縮)が起こります。歯ぐきが下がると歯がしみる知覚過敏を起こしたり、露出した根っこの部分が虫歯になりやすくなります。
口ゴボの治療は、よく考えた上で抜歯・非抜歯の選択を
抜歯をしなくても歯を下げるスペースが十分に確保できれば口ゴボを解消することは可能です。しかし、重度の不正咬合や患者さんが口元を大きく下げたいと強く希望される場合には非抜歯での治療は適しません。
非抜歯での治療を強く希望される場合は、治療を始める前に抜歯・非抜歯における治療結果の違いや注意点、メリット・デメリットなどを知っておくことや、どこを改善させたいのか優先順位をはっきりさせておくことが大切です。
治療前にしっかりと患者さんが納得するまで治療計画を説明してくれる歯科医院で、自分が治療内容を理解し、納得した上で治療を始めることをおすすめします。
・マウスピース型矯正歯科装置(製品名インビザライン完成物薬機法対象外)は医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けていない未承認医薬品です。
・マウスピース型矯正歯科装置(製品名インビザライン完成物薬機法外)はアラインテクノロジー社の製品であり、インビザライン・ジャパン社を介して入手しています。
・国内にもマウスピース型矯正歯科装置として医薬品医療機器等法(薬機法)の承認を受けているものは複数存在します。